女性、外国人、日本企業

フランスを初め、多くの国がうらやむ「問題」がある。資格が必要ない職種においても人手不足が深刻な今日の日本が抱える問題のことだ。その解決法とは、女性と外国人に、さらに雇用を開放することだと言われている。フランス・ジャポン・エコーは、日本の労働市場に日々接している4人の人材紹介会社のリーダーに意見を聞いた。

アデコ株式会社

アジアCEO クリストフ・デュシャテリエ氏

世界最大の人材サービス企業であるアデコにとって、日本は4番目に大きな市場です。現在、日本は人手不足に直面し、業界によっては有効求人倍率が非常に高まっています。建設業界がその好例です。また、日本では急速に高齢化が進展し、出生率が低下し続けています。企業や団体による外国人の雇用促進と、女性が活躍できる環境を整えることが、これら課題の解決につながります。女性にとって魅力のある職場にするためには、育児に関するサポート体制を整備し、より多くの女性が働き続けることができ、また女性が管理職として登用されるような環境を整える必要があります。しかし、このためには多くの組織で新しい施策や働き方が導入される必要があります。企業の人事部は、この実現に非常に重要な役割を果たします。たとえばアデコジャパンでは、組織や体制を絶えずレビューし、常に優秀な人財を惹きつけることができるよう長期的な視野に立って事業運営を行っています。




LAW ALLIANCE RECRUITMENT

SERVICES JAPAN 株式会社

コンサルタント アレックス・トレド氏

ロー・アライアンスは、アジア圏における法務関連の職業に特化した人材紹介事務所です。市場としては小さく、ニッチと呼べると思います。弊社では、お客様の個別のニーズに完璧に合う人材を求めています。ところで、人手不足にもかかわらず、外国人に労働市場を開放することに対する日本政府の切迫感は感じられません。企業自身はどうかと言えば、外国人の人材雇用にオープンマインドを維持するように勧めても、なかなか皆さん首をタテには振りません。女性に関して言えば、外国企業のほうが日本企業よりもはるかに多くの雇用機会を提供しています。しかし、日本企業の中にはこうしたやり方を変えているところもあります。例えば商社の伊藤忠では、特に女性に対し、夜8時以降の仕事を禁止しました。また、イオンや楽天といった企業も、真剣に外国人を雇用しようとしています。




キャリア・デベロプメント・アソシエイツ

株式会社 代表取締役社長 田辺晃氏

弊社は、 ソニーの系列会社の事業を10年前に継承し、エンジニアとExecutiveの人材紹介に特化しています。ソニーを例にとると、同社は日本企業の中でも最も国際化した企業の一つで、非日本人とともに働くことが大変慣れている会社です。世界中で販売会社、工場を持ち、ローカルの人材を採用しており、逆に海外の管理職や外国人エンジニアを日本に駐在させたり、日本で採用したりもしています。しかし、外国人従業員が、日本人チームにうまく溶け込めないこともたまに発生します。ソニーの社員の多くは英語を話しますが、それでも言葉のニュアンス、国民性、考え方の違いからうまくコミュニケーションが取れないことがあります。女性の管理者及びエンジニアはまだ少ないです。一般的にまだ労働時間(残業)が多い職場があり、子育てや家事に時間を取られる女性には不利な状況であり、政府主導での改善が必要です。また、定年後の高齢者の雇用も一般的に給与が大幅に下げられるという問題もあります。今後、日本企業はさらなる国際化のために、外国人従業員を積極的に採用する方策を考えることが大切です。




ロバート・ウォルターズ・ジャパン 株式会社

代表取締役社長

デイヴィッド・スワン氏

ロバート・ウォルターズは、日本企業でも外国企業でも同じように仕事のできるプロフェッショナルの人材紹介に特化しています。外国人労働者に関して言えば、専門職には労働ビザの問題はまったくありません。ですが、日本企業は意欲的な姿勢を見せてはいるものの、外国人を惹きつけるための努力を特にしていません。経営陣は確かに、外国人雇用に門戸を開いている、また、グローバル企業になる必要性を感じているとは言っていますが、人事担当部署では、未だに大学名といった、古い雇用基準にこだわっているように感じます。一方、女性に関しては、日本企業にはもはや選択の余地はありません。人手不足は、もはや躊躇なしに女性を雇用しなくてはならないところまできています。一方で、企業はだんだん父親の育児休暇を認めるようになってきています。

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