学生時代の終わり

学生時代の終わり

フランス会計院が、海外のフランス人学校(リセ)の組織再編を提唱

増える需要、減る予算
「フランスは、500校近くの教育機関を136の国に展開しており、多様性と広がりの面で、世界でも類を見ない影響力や輝き、魅力がある。」海外のフランス人学校(リセ)のネットワーク状況を扱ったフランス会計院の最近の報告書は、そのように始まっている。まさに国の「未来」を準備するために必要不可欠な教育機関に関する報告書である。
報告書によると、海外におけるフランス人学校のネットワークで、いくつかの現象が同時に起きている。まず、リセに対する需要は減少していないと報告書は説明する。海外に住むフランス人は、誰もがこの教育ネットワークの潜在的な利用者といえるが、その数は増加の一途を辿っており(年3%増)、今後も確実に増えるとみられる。また、彼らの子どもたちに加えて、フランス国籍ではない現地の子どもたちも、そうした教育を享受したいと考えており、「現地の教育」と比べて質の高い教育であることが多い。海外のリセの生徒の75%がバカロレア(フランスのセンター試験)、21%が「優」を取得している。すでに今日、海外のリセに在籍する生徒のうち、外国籍の生徒は20万人であるのに対して、フランス国籍の生徒は13万人である。報告書は他方で、公的財源の減少に歯止めがかからない。学校は、フランスの外交政策において重要な役割を担っており、そのことが学校の任務をさらに複雑にする。学校のネットワークの拡張は、フランスの影響力に関する戦略の一部をなすが、特定の国や地域の特権化につながっている(アジアは、湾岸諸国やフランス語圏の国々と同じく、最重要地区に属している)。

選択の時
フランス会計院は、インターナショナルスクールや現地の高校などとの競合が激化しているという。フランス人の両親の多くが、選択(彼らは英語学習などのリセの教育がかなり弱いと感じている)や、必要性(彼らにとってリセの学費は高すぎる)の面で、誘惑に流されがちである。また、報告書では、リセとフランスの高等教育機関との連携の悪さも指摘している。しかも、高等教育機関に対する評価は、国際的に低下しているとい課題もある。さらに、フランス会計院は、海外のリセの生徒たちの進路決定にフォローアップがないことを指摘する。彼らは、本国の生徒たちとは違い、「INE」という学生ID番号を所有していない。報告書は、こうした危機的状況に対して、「(ネットワークに)新たな息吹を吹き込むための必要な決定が早急になされるよう」呼び掛けている。在日フランス商工会議所は、日本のフランス人コミュニティにおけるリセの重要さを認識している。

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