新製品

 高性能ステルス機X-2
X-2の話題が世間の口に上らないのは、きっとそのステルス性が高過ぎるせいだろう。「これまで日本には民間機、戦闘機、いずれの分野でも本物の航空機開発能力がありませんでした。まずはお手並み拝見、というところですね」と、欧州の航空業界関係者は余裕の表情を見せる。初の純国産ステルス機(レーダーで探知されにくい航空機)となるこのX-2は、三菱グループ傘下の三菱重工業(MHI)が旗振り役を務め、220社もの日本企業による協力を得て開発された。現在ステルス機の開発を行っているのは中国とロシア、それに米国の3ヵ国のみ。X-2の公開にあたり、防衛装備庁の吉田孝弘氏は「日本は今後戦闘機開発の分野にも積極的に進出し、その存在感を高めていくことになるでしょう」と述べている。同機はレーダー波を反射しない材を纏った機体、革新的なデザインの吸気ダクト、優れた操作性など先鋭的なテクノロジーの粋を集めたものだ。防衛省によれば、これは日本の戦闘機F-2の後継機開発に向けた第一歩になり得るものだというが、実際のところX-2の開発にはひとつの明確な使命があった。それは日本の防衛設備のサプライヤーたる米国に日本の優れた航空機部品の製造能力を示し、米国の新型機開発などを想定して自国の技術をアピールしておくことだ。米国防総省が安全上の理由から日本へのF-22の供給を拒否したことは、その「最重要同盟国」たる日本の心象を甚だしく損ねることになった。「X-2は、日本が米国の次なる国防計画に参加するための準備段階なのです。この国が独自に戦闘機を開発できるなどとは誰も思っていません」と先の欧州業界関係者は切り捨てた。同様に、MHIが製造した小型リージョナルジェットMRJも、実際のところはより収益性の高い大型機に使用できる安価な部品やテクノロジーを開発するための一種の「目的達成手段」と位置付けられているとの見方も。

下着も賢く
日本の下着メーカー大手グンゼと電気機器大手NECは、着るだけで心拍数や消費カロリー、さらに姿勢まで計測できるスマートTシャツを共同開発した。データはアプリに自動送信され、Tシャツ着用者はこれを確認して自身の健康管理・増進に役立てることができる。ちょっと冗談めいたところもある発明だが、意外と大きな可能性を秘めているかもしれない。事実、炭素繊維で有名な大手繊維メーカー、東レと帝人もこのスマートウエア開発に名乗りを上げている。

ジャポニウムへようこそ
理化学研究所は、この度九州大学の森田浩介教授が113番元素を発見したと発表した。アジアの研究グループとして初めての快挙である。この元素は、メンデレーエフ周期表の7行目に位置付けられる。発見に関わった日本人研究者らは「リケニウム」「ニシナニウム」「ジャポニウム」という3つの候補を提案、その中で最も有力視されるのが「ジャポニウム」だ。この新元素には、理研の若き元研究者による科学的データの改竄が取り沙汰された「STAP細胞」スキャンダルを忘れさせるという思いがけない効果も?

冬眠者
国立極地研究所は、30年の凍結保存からクマムシを目覚めさせることに成功した。この微生物(最大で長さ1.5ミリ)は、代謝が通常の0.01%まで落ちるクリプトビオシス(休眠)能力を持つ。1983年に採取したコケ試料の中で休眠状態にあったこのクマムシ、研究者に「Sleeping Beauty 1(眠れる森の美女、SB1)」と名付けられ、2014年5月までマイナス20℃で凍結保存されていた。今回解凍され、ミネラルウォーターや微小な藻などを与えられるとSB1はしっかりと蘇生し、19個の卵を産んだ。ただしその実験パートナー、Sleeping Beauty 2の長期生存能力はSB1と異なり、こちらは解凍から20日後に死亡している。

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