『日本の大学は本当に国際化を望んでいる』

教育問題専門の明治大学教授アネット・ブラフォール氏が、日本の大学の国際化について語る。


日本の教育システムの閉鎖性を懸念する記事をよく見かけますが、あなたもこの問題について悲観的ですか?
私は他の外国人教員よりは楽観的に考えています。教授から学長まで、日本の大学職員全員が国際化を望んでいます。学生自身も、多くが海外に留学しています。16歳から25歳までの日本人学生2000人以上を対象にブリティッシュ・カウンシルが行った最近の調査では、日本人学生は他国の学生と比べてそれほど閉鎖的ではないことがわかっています。私の担当する授業には、日本人、タイ人、オーストラリア人、カナダ人学生がいますが、日本人学生は英語で話すことを怖れてはいません。


アメリカで日本人学生の数が劇的に減少していると伝えられていますが。
アメリカが大学が示す数値は、現実を捻じ曲げて伝えていると思います。ハーバード大学のようなアメリカの大学が受け入れていた日本人学生は、主にMBA取得を目指す企業の管理職が多かったわけですが、今日、社員に一年の海外留学の機会を与えることができる日本企業は減っています。一方で今後は、多くの日本人学生がアメリカ以外の国に留学するようになるでしょう。


日本の大学は、外国人教員の受け入れを増やしていますか?
文部科学省(MEXT)は、去年9月に日本の大学を世界トップレベルにする意向を発表しました。世界ランキング1位に上り詰めるために、13の大学が
年間4億1000万円、24の大学が年間2億円の補助金を受けることになっています。この計画には、外国人教員雇用の増員も含まれています。文科省は現在から2023年までに外国人教員数を40%増やす計画です。実際には、外国人教員がどのように対応できるのかは疑問です。日本の大学で教員になると、多くの学内会議への参加を余儀なくされます。日本語が満足に話せない外国人教員が会議についていけるでしょうか。日本の大学職員にとっては、外国人の受入れにより多くの追加業務が発生しますが、それを望む人は誰もいないのです。


日本人学生はグローバル化についてよく理解していますか?
日本の学生は、グローバル企業に関してまだ漠然としたイメージしか持っていません。私が学生たちにどの外資系企業で働きたいかと聞くと、彼らは「楽天で働きたい」と答えます。彼らは、楽天は社内会議で英語の使用を義務づけているからグローバル企業であり、日本は国際的になったと新聞で読んだのです。もちろん、日本はいつか真に国際的な国になるでしょうが、3年後にそうなるということはないでしょう。


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