比較

東大相撲部にも外国人と女性が。

移民大国に程遠い日本

厚生労働省が、2009 年から2016 年における外国人雇用状況の職業別推移を公表した。その中で日本における外国人の数が顕著に増えたと指摘しているが、実はそれは日本に住む外国人が日々感じていることである。大手銀行のエコノミストが、日本は今やカナダのような移民大国の仲間入りをした、「世界標準になった」と主張するほどだ。ある外国人の銀行家は「東京の工事現場では、中国語しか聞こえてこない」、日本は不法移民や安易な労働力を黙認しなければ現場が回らないとまで断言している。

しかし、このような結論はあまりに時期尚早だ。

理由は2つある。第1に、日本はまだまだ移民労働者の数が非常に少ないという前提がある。建設と医療分野では360%増と著しく増加しているが、それでも話題にするレベルではない。経済協力開発機構(OECD)によれば、日本の建設部門の労働者は490万人で、そのうち外国人は41,104人である。第2の理由に、カナダやフランスといった他の移民受入国と比べ、日本の移民には長期滞在の意志がないことだ。彼らは子孫を作らない。つまり、経済用語でいうところの人口のフローであってストックではない。一応これらの移民は日本に住みたい意思はあるのだが、仕事さえ終われば日本の法務大臣はためらいなく彼等を出身国に送り返すことができる。2009年のリーマンショックの後、移民の管轄当局は数年前から無職で滞在していた何万人もの南米の労働者を数か月間で躊躇なく自国に強制送還した。その際、わずかな帰国支援金と引き換えに、もう二度と戻って来ないことを書面で約束させることも少なくなかった。

"ほぼ"清廉潔白な日本人

汚職・腐敗防止活動を行う国際NGO、トランスペアレンシー・インターナショナルはアジア地域の16カ国 21,000人を対象に行った調査報告を発表し、日本は 、アジアで4 番目に腐敗度の低い国であった 。「 汚職は増えているか?」「賄賂の額は増加したか?」「汚職に対して市民は無力か?」の3つの質問に対し、最も「いいえ」が多かったのは、オーストラリア、スリランカ、台湾で、日本もそれに続いた。調査によれば、日本では汚職に関わったことがあると回答した人がたった0.2%なのに対し、インドでは69%であった。調査に回答した日本人のうち、公共サービス(学校、病院等)を優先的に受けるために賄賂を渡したことのある人はいなかったが、日本は徐々に腐敗してきていると考える人は28%いた(同じ質問に対し、中国人は73%でワースト1)。最も残念なのは、大半の日本人が腐敗を告発しても「何も変わらない」と考えていることだ。
アジア全般において、この調査で最も懸念を感じさせるのは、信頼の欠如である。調査に回答した人たちは世俗の機関に信頼を置いていない。警察、政界、公務員が最も腐敗しており、聖職にある人たちは最も誠実であると考えられている。マレーシアとヴェトナムは、市民の大多数が政府は「腐敗している」と感じている。

インダストリアス・ジャパニーズ

仏ガラス大手サンゴバン社の名誉会長ジャン= ルイ・ベファ氏が行った調査では、付加価値に工業が占める割合は、フランスでは12%だが、日本では23%、韓国35%、中国43%となっている。 

常にイノベーションを

フランスと日本は、世界のイノベーションを評価する最新のグローバル・イノベーション・インデックス(GII)で、各々15位、14位と、名誉ある、しかし華々しさには欠ける順位だった。世界知的所有権機関(WIPO)、米コーネル大学、仏経営大学院INSEAD等が発表しているこの報告書のランキングで1位に輝いたのは、7年連続でスイスだった。スイスのリーダーシップには驚かされるばかりだが、かの有名なグレアム・グリーン原作の映画「第三の男」の名台詞には、500年の 平和と民主主義が「鳩時計」しか生み出さなかった国、というくだりもある。報告書によれば、スイスは、民間分野と緊密に連携した優れた大学のシステム、多国籍企業とそのサプライヤー、そして優秀な人材という大きな魅力を併せ持っている。報告書では、国際特許の出願が最も多い地域を示す「技術革新ホットスポット」も30カ所特定されている。フランス(パリ)に1カ所、日本には3カ所(東京、大阪、名古屋)ある。

正しい方向へ

不浄な金も、金は金。しかし求められているのは、道徳である。日興アセットマネジメントの最近の報告によれば、投資家は「倫理的」な基準を意識したファンドに惹かれる傾向にある。欧州の倫理的投資の規模は12兆ドル、米国は8兆ドル、日本はまだ4,740億ドルだ。倫理的投資では、例えばタバコやアルコール、ギャンブル、化石燃料がポ ートフォリオから外される。しかし日興アセットマ  ネジメントはこうした偏った運用に懐疑的だ。ファンドの経営者も投資家も酒は飲むし、タバコを吸うこともある。移動には車や飛行機に乗る。一方で、「ソーシャルメディアは、ネット上にハラスメントを持ち込み、殺人を引き起こすこともあるにもかかわらず、排除の対象になっていない」 と指摘するのは、報告書の執筆者ジョージ・カーター氏だ。同氏は、ファンドの選定基準の改善を提案している。例えば、ギャンブル、アルコール、タバコを扱う企業が自社の製品を未成年に推奨しないようにすることを挙げている。

減りゆく労働時間

「フランスでは7週間の有給休暇がもらえたのに、日本に帰ってきたら、同じ会社でも2週間しかもらえないなんて!」と、ある多国籍企業の社員は嘆く。フランスの年間実労働時間は1,482 時間。日本の1,719時間に比べてはるかに少な い。しかし昔からそうだったわけではない。フランス国立統計経済研究所(INSEE)の調べによると、1950年当時の年間実労働時間はフランス が2,230時間なのに対し、日本は2,080時間であった。両国の労働時間は1960年代に並び、1975年以降は明らかに逆転した。1987年は最も開きがあり、フランス人の労働時間は日本人よりも20%下回った。長期的にみると、両国の総実労働時間は年々減少傾向にある。

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