温室効果ガス対策:それぞれの役割

通信、自動車、ロジスティクス、産業設備、検査・認証。気候変動問題はあらゆる産業部門の課題だ。

ヘルベルト・ヴィルヘルム氏(西濃シェンカー 株式会社)
シェンカーは世界第三位のロジスティック・輸送業者です。日本に進出したのは50年前で、12年前に西濃シェンカーを設立しました。私たちは温室効果ガス排出削減に非常に力を入れており、親会社であるドイツ鉄道は、欧州で一番環境に優しい鉄道会社を目指しています。日本では温室効果ガス排出削減が未だ重視されておらず、私たちの環境配慮について顧客から質問を受けることは稀です。環境問題への意識が高いのは、欧州とアメリカに限られたままです。

ジャン=ミシェル・セール氏(オレンジ・ジャパン株式会社)
通信は環境に優しい産業です!なぜなら通信は人々をつなぎ、移動交通を減らすのでエネルギー消費を抑えるためです。しかし通信の素晴らしい進歩そのものが、天然資源を大量に消費することも確かです。たとえば次世代モバイル通信5Gでは、4Gと比べ通信可能データは30倍、エネルギー消費は減少しています。しかしデータ通信量は爆発的に増えるでしょう。
通信端末数の驚異的な増加にも目を向けなくてはなりません。これほど頻繁な速度でツールが刷新されてゆくセクターは他に無いのです。私たちは利用者あたりの温室効果ガス排出量を減らすよう努力しており、また内部でも私たちの業務によって排出されるガス量の削減に取り組んでいます。

フィリップ・ブシェ氏(シュナイダーエレクトリック株式会社)
我が社はエネルギー生産と供給の間にあり、エネルギーの変換を行っています。私たちは例えば、標準的な建物のエネルギー消費量を30%削減することが可能です。自身の本社では70%の削減を達成しました。
産業界がエネルギー消費削減措置を打ち出すようになったのは最近のことです。シュナイダーエレクトリックでは、エネルギー需要の効率的管理を提案しています。特に、電気が届いていない地域に住む10億人にクリーンエネルギーを提供し、現在進行中のエネルギー転換を支えています。また2億ユーロの気候変動債を発行し、気候保全に役立つ研究・開発プログラムの支援を行い、また社内でもCO2排出量を減らす努力をしています。
温室効果ガス排出削減のため日本は規制面での努力をすべきですが、行われていない状況です。我が社では日本企業から排出削減ソリューションを依頼されたことがありません。これは日本の国レベルで環境問題への意識が欠如していることの表れではないでしょうか。

岡崎久喜氏(ビューローベリタス)
私たちは、温室効果ガス排出抑制とエネルギー節約(消費面ではなく)に関連するサービス・製品の検査・認証を行っています。顧客は日本初の炭素市場である東京都の炭素排出量取引制度の市場や、環境省など。我が社が開発した証明取得済みの「CO2排出量測定器」を使えば、各企業が排出量を自身で測定することができます。これは非常に進んだ機器で、企業活動による間接的な排出量も測定可能となっています。社内では、世界中のビューローベリタス拠点のCO2 排出量を計算する「カーボンオフィス」を設置し、排出削減に役立てています。

セルバン・カンタキュゼーヌ氏(日本エア・リキード株式会社)
日本に100年以上前から進出しているエア・リキードは産業ガス部門で世界のトップを走っています。エネルギー消費削減とクリーンエネルギー開発に関する世界全体の取組みには、新たな投資と経済の活性化を引き起こすと考えています。
日本は重大なエネルギー転換期にあります。インフラ(道路、トラック、トンネル、橋など)は欧州よりも小さく、そのためエネルギー消費量が大きい。さらに、福島の原発事故のため電力価格はさらに上昇しました。こうした問題に解決策を見つけ出さなくてはなりません。例えば水素のような、クリーンなエネルギー源となるいくつかの特定の革新的なセクターが活気を見せています。

オリヴィエ・フィドリー氏 (フォルシア・ジャパン株式会社)
自動車産業は以前から温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。フォルシアでは車両重量を減らし、CO2排出量を抑えることで気候問題に対応しています。フォルシア製品を装備した車両では重量で100キロ、CO2排出量で10グラムの減少が実現されます。コスト面が大きな課題です。社内では、300箇所の工場において生産プロセスの簡略化に努めています。温室効果ガス問題について日本の方針を把握するのは困難です。世界各国の動向を見てから決断しているように見えます。日本が非常に積極的に取り組むセクターもありますが、自動車の軽量化という重要課題には全く関心を示していないようです。

市光工業:CO2対策への明るい光

貴社は気温上昇や温室効果ガスに対してどういった取り組みを行っていますか?
ICHIKOHは自動車のランプとミラーを設計・生産しています。製品改良により、車両のエネルギー消費量を大きく削減できるようになりました。例えばLEDランプへの移行により、走行距離100キロあたりCO2排出量を約1グラム減らすことができます。 また2016年からは「カメラ・モニターシステム」が普及するでしょう:車外ミラーをカメラに替えることで空気抵抗を大きく減らし、さらにエネルギー消費を抑制することができます。

この問題に関して、イノベーターやマーケットとしての日本の位置付けについてはどうお考えですか?
日本ではテールライトのLED使用率が世界最高レベルです。ヘッドライトについても、トヨタや日産といったメーカーはハイブリッド車や電気自動車に関連した技術としてLEDを採用しています。家庭用白熱電球の生産停止に象徴されるように、全体的に、日本はLEDのリーダー的存在です。

貴社が特に日本で展開する気温上昇・温室効果ガス対策を教えてください。
我が社の「プロダクト」戦略では、LEDの今日以上のさらなる普及を目指しています。イノベーションにより、多様なスタイルのLEDを安価に提供したい。そんなイノベーションの一つが、MonoLED です。
オリビエ・バルトムフ (ICHIKOH)

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