湧き出るイノベーション

湧き出るイノベーション

大阪ナレッジキャピタルにあらゆる分野のイノベーターが集結する。2日間にわたるイノベーションの展示、討論、そして商談会など盛り沢山のフォーラム、間もなく開催。

2016年12月6日、7日、一際目を惹くコンベンションセンター、大阪ナレッジキャピタルでオリジナルなイノベーションフォーラムが開催される。日仏の企業、公的機関、そして研究者らが一堂に会するこのイベントに「フランスからは約200人もの参加を予定しています」と笑顔で述べるのは、本フォーラムのキーパーソン、在日フランス商工会議所関西デスクのバンジャマン・コスタ。主催者側では約2000人の来場者を見込んでいる。
このフォーラムの多様性、それはすなわちイノベーションの裾野の広さそのものだ。スマートシティにテクニカルテキスタイル、さらにはデジタル医療まで、ここではあらゆる分野が対象となる。フランスからは創設以来イノベーションへの積極的な取り組みを重ねてきたオレンジやヴェオリア、ダッソー・システムズ、トタルなどの大企業グループ各社が参加する。トタルは「当社のイノベーションを支える2つの柱をご紹介する予定です。第一に、あらゆるレベルの社員がイノベーションを主導する我が社の企業風土。第二に、エネルギー関連セクターにおける多数の革新的なスタートアップへの投資という対外的な支援策です。当グループのベンチャーキャピタル、トタル・エナジー・ベンチャーズによる2009年以降の累計投資額は1億5000万ドルに達しました」と述べる。また日本に進出している主要フランス企業の中ではその革新性で特に定評のあるヴァレオも参加予定。同社は先頃、自動車前方のあらゆる障害物を検知するレーザースキャナーSCALAを発表したばかりだ。さらに新たなエネルギー源として日本が推し進めている水素への転換事業に参加する主要外資系事業者、エア・リキードも出展社として名を連ねる。「日本は多くの先端産業部門(エレクトロニクス、ロボット工学、デジタル関連など)で他国に先んじています。気候変動や未来型都市のニーズ、高齢化問題など現代社会の抱える諸問題に対処するため、日本はイノベーションに大きな期待をかけています。弊社では自社開発したソリューションのテストやこうした技術の輸出を目指し、最新の研究開発センターを日本に設置したところです」と、エア・リキード社取締役副社長兼COOのセルバン・カンタキュゼーヌ氏は述べる。参加企業の列には日本ミシュランタイヤの名も。「当社ではここ数年間、日本の研究機関や大学とのパートナーシップ提携を推し進めてきました。研究開発の促進に加え、将来的なエンジニアの採用を見据えて教員や学生との接点を作ることも目的のひとつです」と説明するのは、同社代表取締役会長のベルナール・デルマス氏。本イベントには、この他にもテクノロジーの重視性に強い関心を抱いている数々のフランス企業が参加する。広告付バス停留所上屋で日本の大都市景観を変化させつつあるエムシードゥコーもそのひとつ。「当社では三菱商事とのパートナーシップに基づき、日本市場に適したイノベーションの開発にあたっています。今回のフォーラムでお見せするのは、マルチ機能(USB充電ポート、wi-fi、インタラクティヴな市街図、リアルタイムの災害情報提供など)のスマート・ストリートファニチャーです」と代表取締役社長ジャンコーム・ランフランキ氏は語る。
そしてここ日本で産声を上げた新しいフランス企業も忘れてはならない。例えばアルドネット社。「当社にとってこのフォーラムはIMV株式会社との事業を紹介する場です。当社のインターネット・プラットフォームを通じて、IMVはビルやインフラ上に設置されたセンサーから送られるデータをクラウド内に集め、その強度をチェックするというサービスを提供しています」と述べるのは、創業者のローラン・サファ氏。そして、製薬業界に身を置くサンジェ氏が立ち上げたコンサルティング会社、シンファテックジャポンも出展する。日仏関係者間の橋渡し役を果たしている同社の参加は、ある意味原点への回帰でもある。なぜなら薬局が誕生したのはここ日本だからだ。「歴史ある薬の町で、医療の神様を祀った神社もある道修町には多くの製薬会社が本社を構えています」とフランシス・サンジェ氏。フォーラムにはもちろん日本企業も名を連ねている。東洋アルミニウム株式会社は、フランス・アクーに30年前から拠点を構えるアルミニウム専門のトップメーカーで、この機会に同社最新のイノベーションを紹介する予定だ。消火器・消火システムの初田製作所も、仏市場進出を狙って今回の出展を決めた。日仏イノベーション年の最後を飾るイベントだが、これはもしかすると新たな始まりなのかもしれない。「ひとまずオープニングが終了、ということですね」とサファ氏は微笑んだ。

フランス南部への通過点

このフォーラムはフランスの魅力を発信する絶好の機会でもあるが、今回大阪では2つの地域がクローズアップされる。まずはマルセイユ市。現地でレストランを経営する日本人シェフとともに、活気溢れるこの街の魅力をアピールする。フランス最大の大学を擁し、また保健衛生や生命科学、エネルギー分野の優良拠点も多数認定されているマルセイユ市は、地理的にも同市は南欧と地中海地域をカバーする要衝であり、豊かな歴史的遺産や素晴らしい自然など数多くの切り札を有している。もう一方はオクシタニー地域圏。とりわけ保健衛生や生命科学の分野における研究でフランスの最先端を行く同地域圏は国内第四の観光地でもあり、加えて航空宇宙産業の中心地としても知られる。

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