若者にも高級ブランドは人気

若者にも高級ブランドは人気


良かった。日本の若者は、今もブランドが好きみたいだ

「違い」の時代
25年間、一つの問いが日本経済につきまとっている。「果たして日本は、高級ブランド品とモードのメッカであり続けるのだろうか」という問いだ。80年代末のバブル崩壊、90年代末の経済危機、そして今日の高齢化問題のつけが、この業界に重くのしかかるが、グッドニュースは高級ブランド品業界は日本の若者に期待できるということだ。今の若者層は、その親世代と同じくらい高級ブランド品に興味を示している。一方で、その消費様式が様変わりした。主役は今も、女性だ。かつて日本の若い女性たちは、ある決まったブランドのファングループに属すのが一般的であり、その愛するブランドが生み出すものはすべて集め、身につけていた。今日の若い女性たちは、他人と違っていることを求める。インターネットがもたらしてくれる環境を利用して、とことん検索し、バラエティに富んだ買い物をする。他人が持っているものは、もはや求めない。他人が持っていない、あるいはまだ持っていないものを求めるのだ。一言で言えば、日本人女性たちはその群れから解放されたのだ。彼女らはこうして、その先輩たちに比べてはるかに多くの時間を商品探しに費やす。そして、地球の裏側へまで出かけ、数時間のショッピングの末、それを見つけることもいとわない。彼女らの嬉々とした流れはモンテーニュ通り、フォーブール・サン=トノレ通りといったパリの高級品大通りという川床を抜け出し、バスチーユ界隈やマレ地区へと広がりつつある。彼女らは、高級ブティック街を中国、韓国などの新たな女性購入者層にあけ渡したのだ。ビッグブランドへの愛着は保ってはいるが、今やそれはイザベル・マラン、シュルーク、アーバン・オアシス、フィリップ・リムといった新しいブランドとも着合わせしている。

新しい流通
流通にも変化が見られる。確かに、ビッグブランドは変わらない。カリフォルニア州ほどの面積しかない日本に今も、グッチのブティック75店舗、フェラガモ80店舗、バーバリー180店舗、コーチ150店舗が存在する。デパートは、日本の若く経済的に余裕のある顧客層を惹きつけている。たとえば新宿伊勢丹は、そのカルト的店舗の独特なリニューアルと、優れたネットショップ戦略を合体させることで、めざましい営業成績をおさめた。
だが、有名デパートの近辺には「ミニデパート」が誕生し、従来、日本人女性の「シリアル・ショッパー」らがハシゴしていた三越・伊勢丹・高島屋・松屋といった大店舗勢の地位を揺るがしている。イーストネーション、バーニーズなど、これらの新型店は実に偶像破壊的で、インターネット上での見事な店舗紹介、日本の市場規模に適した未知のブランドの提供などによって、若くリッチな顧客層を獲得している。

男性層の登場
男性顧客層も、ついに同業界のニューカマーとなった。彼らにとっては、供給が需要を作る。10年間、流通業界は、目玉ショップを展開して男性モードの成功に賭けてきた。伊勢丹はアネックスの1階から9階までを、古着風の「グランジ」からクラシックスーツまで揃えた男性客向けショップに割当てた。阪急は銀座有楽町界隈に、今や男性客御用達となったショップを開設。ユナイテッドアローズ、トゥモローランド、ビーンズ、イーストネーション、エディフィス、バーニーズといったマルチブランド店もその動きに乗り、男性モード商品をきわめて豊富に揃えた売り場を展開。一方、『レオン』『メンズクラブ』を筆頭に、上質の男性誌の数々も増えた。日本人男性の趣味は日増しに確かで自信に満ちたものとなっている。ボルサリーノの帽子、黄色のネクタイ、ワニ皮ベルトなどで、彼らはますます大胆さを見せる。男性の位置付けはモードや高級ブランドにおいてますます重要になるだろう。それは衣服のみならず、装飾品(宝石、時計)においても、また日本でのクラランスの男性向け商品の成功がそれを示しているように、化粧品においても同様である。
ネクタイから下着(真っ白な!)にいたるまで、妻が夫の洋服ダンスを牛耳っていた時代は過ぎ去った。今、男は、若いカノジョの意見を参考にすることはあっても、自分のものは自分で選ぶのだ。

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