訪日客がもたらす実際の影響力

Touriste

日本で新たな勢力となっている外国人観光客。その実際の影響力とは。

1対 8
日本に関心を寄せる経済学者にとって、必ず念頭におくべき概算がある。日本経済新聞によれば、現在、日本人1人当たりの年間消費額(120万円)は訪日客8人分の消費額(1人当たり約15万円)に相当する。CLSA銀行が行った最近の調査によれば、訪日客は既にこの国の経済において不可欠な勢力となっており、特に化粧品や高級ブランド品といった特定の部門でその傾向が顕著である。具体的には、2017年における訪日客の消費額は合計4兆4161億円で、2011年と比べて3.4倍。GDPに占める割合はこの6年間で0,27 %から0,8%へと上昇している。主な支出項目のトップ3は予想に違わず、買い物代(37%)、宿泊費用(28%)、そして飲食費(20%)であった。
この新たな恵みの恩恵に最も浴しているのが百貨店だ。業界団体によれば、インバウンド消費は2014年に売上高の1.2%に過ぎなかったものが、現在では6.9%を占めるに至っている。
製品別に見ると、化粧品(特に日本のブランド)の販売における訪日客の影響力はまさに驚異的で、実にその46% が化粧品や香水を購入している。

中国の存在感
訪日観光客の60%は中華圏(中国本土、台湾、香港)からで(これに続くのが韓国の12%)、観光支出総額の39%を占めている。支出内訳では買い物代が依然として過半数を占めているが (支出の52%)、今後はより「体験」にお金を使いたいという声が聞かれる。中国人観光客の消費額は2年前から停滞しているものの、1人当たりの消費額は最も高く(オーストラリア人とほぼ同じ)、化粧品や香水を購入する人の割合は80%に上っている!
とは言え、中国人によるこの並外れた消費の拡大はいくつかのリスクをはらんでいる。日本と中国 には常に外交危機が付きまとい、問題が発生する都度、日本を訪れる中国人観光客の数は一気に減少する。また、中国では高級品の内外価格差が縮小しつつあり(中国の調査機関、財富品質研究院によれば2011年の65%から2017 年には16%に減少)、中国人が外国で買い物をする理由が薄れている。そして為替相場において、2015年6月を底に人民元に対して価値を25%回復した円の相場もリスクのひとつだ。
フランスとドイツは共に訪日観光客の1%を占めるに過ぎないが、おそらくもう少しは増えるのではないだろうか(英国は2%)…

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