静かな風

世界の風力発電業界は楽観的な雰囲気に包まれているが、日本の状況は違うようだ。

追い風
世界的に見て風力発電には追い風が吹いている。この10年で世界の風力発電能力は10倍ほどになった。さらに注目すべきこととして、世界風力会議(GWEC)の推計によると、今後数年は風力発電能力の増加はアジアの割合が最も大きくなるという。風力発電のポテンシャルは膨大である。しかし、風力は分布に非常にばらつきがあり、また変動が大きい。困難は他にもある。風力の強い地域は電力需要の最も大きい都市部から遠いことが多く、送電の問題が非常に大きく立ちはだかっている。

ポテンシャルは依然未活用
日本の風力発電のポテンシャルは北海道および東北地方に集中しており、陸上風力が主流であるが洋上風力も可能性がある。その他の地域は風力発電には不向きであると経済産業省は判断している。建設費および送電線接続費用の高さゆえに、政府はエネルギー源としての風力発電に対し慎重な姿勢を崩さない。風力発電のポテンシャル活用のためには、過疎化が進んでいるが十分に風力のある地域に送電線を整備する必要も生じるであろう。
経済産業省は2012年、再生可能エネルギー支援政策の一環として、非常に高い価格で風力による電力を電力会社が買い取る固定価格買取制度を導入した。KW/hあたり16円という日本の買取価格は世界的にも際立って高い水準である。しかし経済産業省は風力発電所の建設認可に際し、3年間の環境影響調査を義務付けた。
現状には失望せざるを得ない。日本が定める2030年時点でのエネルギーミックス内の風力発電の目標割合は1.7%と極めて低い。「目標が低すぎて、メーカー・事業者が失望しかねない」と業界団体日本風力発電協会(JWPA)は指摘する。JWPAの見解によると、日本はこの5倍の目標達成が可能だという。さらに、風力発電は日本の経済活動にも大きな効果をもたらすと指摘する。JWPAは最近、「タービンを動かすには何万点もの部品、設置やメンテナンスを担当する技術者が必要となる。洋上風力発電所で1GWの発電を実現するには400億円の投資を伴う」と発表した。
一方で、日本メーカーは風力発電設備製造の全体に関わっており、今でも外国に部品製品を販売することは可能な状態である。

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