2013年は「百合とカノン」

クリスチャン・ポラック氏が綴る、日本に足跡を印したフランス人の物語の第三幕。この素晴らしい著作を刊行するのは、在日フランス商工会議所である。

よう、八つぁん、今度はなんだい。野暮なことを聞きなさんな、熊さん、歴史にきまってらあな……
2001年の「絹と光 — 日仏交流の黄金時代、江戸時代から1950年代まで」、2005年の「筆と刀—日本におけるもうひとつのフランス、1872-1960」の成功に続き、在日フランス商工会議所は、第三弾「百合とカノン、1863-1914」を刊行する。著者クリスチャン・ポラック氏が、その一生涯を捧げた壮大な取り組み。いや、幾多の生涯かもしれない。この多才な男は、坂の上に浮かぶ雲を掴むためのすべをいくつも持ち合わせているのだ。
フランス国立東洋文化言語研究所日本語修士課程、一ツ橋大学大学院法学研究科博士課程をそれぞれ修了し、1980年には、1914年から1925年までの日仏外交に関する博士論文を提出。以来、日仏交流史に関する研究をフランス語と日本語で発表し続けるとともに、株式会社セリクでコンサルタント業を営んでいる。
クリスチャン・ポラック氏の新作は二カ国語、フルカラーページにイラストを満載し、フランスがいかにして日本の産業、軍事発展に寄与したかを明るみにしていく。一個人の数奇な生涯(例えば海軍士官シャルル・ラヴィゾン)、一企業の新天地での冒険(シュネデール・エ・クルゾー)、ある時代の人々の心に深く刻まれた悲劇(ニール号の沈没)などにさまざまな角度から迫る。
この本の随所に惜しげもなくちりばめられた未公開史料の歴史的価値は計り知れず、しかも、その多くが好事家の眼さえ楽しませる美を兼ね備えている。特にフランスが日本に残した財産に脚光を当て、同国の企業イメージをその長い歴史を通じて浮き彫りにする。
祝祭と贈り物の季節を目前にひかえた2013年11月の発刊を目指し、鋭意準備中である。

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