マクロ:専門家に聞く

Nobuko Kobayashi, Managing Director & Partner, EY-Parthenon

日本は移民に門戸を開くべきか?

個人的には、私は大量移民政策には反対です。し かし日本は、技術のある移民へはすでに門戸を開 いています。技術のない移民は、労働力不足対策 としての臨時的措置です。
 

日本で女性の立場は向上するか?

ゆっくりですが進歩はあると思います。女性管理職を自然発生させることはできませ ん。日本では数十年来、女性は期待されていませんでした。本当の進歩は社会インフ ラのレベルで起こっています。現在、働きたい母親が保育園に子供を預けることは以 前より容易になっています。しかし出産後、多くの女性は「母親ルート」に載せられ、 元のポジションに戻ることができていません。世の中の変化が昔より速くなっている だけに、いっそう困難になっています。職業訓練により、こうした女性が復帰でき、より 進んだ考えを持つ雇用主の下で働けるようになることが望まれます。

企業は国際的なキャリアを持つ日本人を正しく取り込んでいるか?

外国人の受け入れが増えています。企業は、安定雇用の約束の見返りとして従業員が生涯会社にとどまる家族のような組織と自らを考えることをやめなければなりません。こうした考え方は、職業的に流動的であるためにMBAを取得する人のメンタリティとは大きく異なります。

Patrick Artus, Économiste en chef, Natixis
 

日本の超低金利政策は機能したか

銀行が超低金利の債券をポートフォリオに持っている限り、 金利の再上昇は銀行と公共財政を破壊することになってし まいます。可能な唯一の戦略は、銀行のバランスシートを中 央銀行に移すことです。これが日銀のやることです。
 

なぜ日本ではデフレが終わらないのか

高齢化は通常、インフレをもたらします。生産者の減少と消 費者の増加を含意するからです。しかし日本ではそうなって いません。その理由は、日本では労働力人口の3分の1が非 正規雇用であり、このような労働市場の柔軟化のために、労 働者の賃金交渉力がほとんどなくなってしまっているから です。加えて、税制改革(消費増税、法人税減税)により賃金 上昇や消費拡大が阻害されています。とは言え名目賃金は わずかに上昇し始めており、企業は現金の内部留保は何の 役にも立たず、従業員に分配したほうがよいということを理 解しているように思われます。
 

日本は技術革新をけん引する存在であり続けるか

日本人は物質の論理には優れているが、ヨーロッパ人ほどにはグーグルや アリババを生み出しては来ませんでした。これからはグリーンエネルギーの 道を行くのか、それともデジタルか、あるいはドイツのように、鉄鋼、化学、自 動車などの昔ながらの産業の継続を余儀なくされるのか。日本人は次の世 界経済危機に耐えられるのか。非物質的な一大セクターを開発することがで きるのか。これは、この国にとって重要な問いかけだと思います。

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