日本という確かな市場

Le japon, terre ferme

ロケットの再使用、衛星コンステレ ー シ ョ ン 、そ し て「 N e w Space」…… 宇宙産業に大きな変革期が訪れている昨今、東京を訪れ たアリアンスペ ースのステファン・イズラエルCEOは泰然自若の構えで臨む。

「ロケットの再使用」はすんなり理解しにくい論点です。アリアンスペースは打ち上げ回数が多くないと再使用には意味がないとし、再使用による生産ラインの著しい停滞が同社にとってマイナスとなる可能性を指摘しています。しかし本当の問題は別のところにあるのでは?

そうではなく、これは市場が直面する大きな問題です。十分な生産能力を維持できなくなれば、信頼性が失われることになるでしょう。信頼性は打ち上げ頻度と密接に結びついていますから。さらに、例えば1段目ロケットの回収に失敗した場合、安定供給できなくなります。顧客の要望はきちんと整備された機材が常に用意されていることであり、これがロケットの信頼性と安定供給にとっての鍵なのです。再使用について検討するときには、常にこの点を頭の隅に置いておかなければなりません。

 

再使用の経済的なアドバンテージは証明されていないということですね。これは米国の政府によるロケット打ち上げ需要において財政的・技術的に認められているモデルですが、商業的利益についてはまだ答えが出ていない、という意味でしょうか?

再使用可能ロケットに利益がないと申し上げているのではありません。米国ほどの需要がない欧州市場であるからこそ、再使用可能ロケットの経済的な利点がどこにあるかを自問しなければならない、と言っているのです。弊社と競合している米国スペースX社は、米政府による極めて高い打ち上げ頻度の恩恵を受けており、独自に衛星コンステレーションを開発しようとしています。同社としてもプロジェクトの採算性を考えているわけですから、彼らは打ち上げに莫大な費用をかける必要がないのかもしれません。一般的には、打ち上げ頻度が高くなければ再使用に意味がないことは明らかです。現状では、その頻度がさほど高いとは言えないのです。

 

現在、中・低軌道衛星コンステレーションと静止衛星の間で激しい競争が繰り広げられています。勝つのはどちらでしょうか?

将来的にはおそらく2つのソリューションが共存する形になるのではないでしょうか。静止衛星の運用事業者大手SES社は衛生O3bの中軌道衛星コンステレーションを有しています。また事業者インテルサットはワンウェブの低軌道衛星コンステレーションの利用計画に今も関心を示しています。弊社としても、これら両者の併存を見据えていくことになるでしょう。

 

日本の顧客による年1回の打ち上げ受注を確実に維持する方策は?数年先の見通しはいかがでしょう?

日本市場には勢いがありますし、今後もオリンピック開催などによりさらに活況を呈するでしょう。当社が打ち上げる日本で32機目の衛星、BSAT-4bはまさにこのオリンピックを契機とするものです。さらにスカパーJSATの通信衛星JCSAT-17の打ち上げも当社が担当しています。あるスタートアップ向けの「ヴェガ」(Vega)ロケット打ち上げも受注しました。このように、日本市場が極めて有望であることに変わりはありません。

 

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