TPP にかまけてEPAを冷遇すべからず

自由貿易の未来に暗雲が漂っている。日本と米国、そして10ヵ国を数える太平洋岸諸国間で行われていたTPP交渉は7月末に一時決裂したが、その数日後、日本のメディアはEUとの経済連携協定に向けた折衝が膠着状態に陥っていると報じた。日本経済新聞はこれら2つの交渉を次のように関連付けている。「7月末に開催された日本とEUの第11回会合では、交渉の進展はみられなかった。TPPの延期を受けて日本は現在待ちの体勢に入っており、年末までの合意は益々難しくなっている」
日本では、TPP に比べればEPAの締結など全く造作もないことだと考えられてきた。しかし、ここ2年ほど非関税障壁や政府調達分野の開放がいくつか達成されたとは言え、日本が欧州側の要求にしっかりと応えるためにはまだ多くの課題が山積している。
先般、次期ヘリコプター開発に向け防衛省が実施した競争入札でエアバス/川崎重工業が想定外の敗北を喫したことは、日本の誠実さに対する欧州陣営の不信感を助長する結果となった。

ベルナール・デルマス
在日フランス商工会議所 会頭

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