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ポッドキャスト Itinéraires singuliers – 東京で1年、Gemmyoが輝かしい成功を収める:ポリーヌ・レニョーの教え

Itinéraires singuliers – 東京で1年、Gemmyoが輝かしい成功を収める:ポリーヌ・レニョーの教え

フランスのジュエリーメゾンを東京に開くことは、一見すると難題のように思える。しかし、Gemmyo(ジェミオ)の創業者ポリーヌ・レニョーにとって、それはむしろ創業当初から掲げてきた理念「自立した精神」の自然な延長線上にあるものだった。彼女にとってそれは、生き方の指針であり、ブランドの核となる価値である。

「人に好かれるためでなく、正しいことをする」

この信念こそが、彼女を高等師範学校卒という典型的なキャリアパスから遠ざけ、起業という冒険へと導いた。きっかけはある婚約指輪との出会いだった。数百万年の時を経た宝石、受け継がれる象徴、そしてそれを身につけるという行為に感銘を受けた彼女は、そこに「人の温かみ」が欠けていることに気づく。Gemmyoは、カラー・ストーンを中心に据え、上質さと温かさ、公平な価格を両立させるという理念のもと誕生した。

なぜアジアの中で東京なのか?ポリーヌによれば、日本の顧客はパリの女性と同様に、控えめさ、美意識、意味を重んじる感性を持っている。派手なロゴよりも「意図のあるジュエリー」を好むのだ。そのため、長い市場調査を行うことなく、東京進出を即決。表参道はサン=ジェルマン・デ・プレのような雰囲気――広い通り、ギャラリー、洗練された静けさ――を持つ場所として選ばれた。
ブティックの内装は、パリのエッセンス(ヘリンボーンの床)を活かしつつ、日本的な繊細さ(鉱物質の天井や屏風での仕切り)取り入れている。工事は予定より早く完了し(日本では珍しいこと)、オープン当初から「フランスの精神と日本の心遣いの調和」が顧客にすぐに理解された。

オープンしてすぐに彼女は一つの教訓を得た:日本でも、フランスで成功したことが通用する。

逆に過度な「日本向け調整」は失敗を招いた。
指輪のサイズを小さくしすぎたり、在庫のバランスを誤ったり、有名人との高額なインフルエンサーキャンペーンも効果は薄かった。
原点に立ち返り、実際の顧客とのイベント、誠実な物語、フランスでの受注生産、石と想いによるパーソナライズを重視すると、再び勢いが戻った。試着の場では「物を売る」のではなく、「象徴を整える」のだ。

日本人のスタッフ3名(そのうち1人は国別ディレクターのエリカさん)が、ブティックとパリ本社をつなぐ。WhatsAppやSlackで完全に一体化し、フランスでのセミナーにも参加。
接客では日本の礼儀を尊重しつつ、正直で建設的な意見を伝える文化も根付いている。合わないデザインには「似合わない」とはっきり言う。この誠実さが信頼を生み、効率的な仕事にもつながっている。

東京での初年度売上は約200万ユーロ(約3億円)。市場は、「本物のフランス発ジュエリーメゾン」を求める日本人女性が多いことを証明した。
ブティックでは、顧客一人ひとりが物語を持つ。目の色に合わせたサファイア、思い出のトルマリン、人生の節目に選ぶコニャックダイヤモンド――それぞれが「意図のこもった宝石」として愛されている。

次の展開は関西へ。京都・ホテルオークラで行われた2週末限定のポップアップは24時間で予約が満席(66件)。次なる候補地は京都、続いて福岡や名古屋も視野に。拡大は「エリア制覇」ではなく、「丁寧に、需要が見えた場所で」という精度重視の戦略だ。

Gemmyoの日本進出は、文化の衝突ではなく「出会い」を物語る。日本は技と準備、美の尊重を重んじ、Gemmyoは人との温かいつながりと誠実さを届ける。
その共通言語は、「意味を身につけるジュエリー」。
自分らしさを保つことが、最良の適応法なのだ。時に日本で最も成功する方法は、「日本に合わせすぎないこと」なのかもしれない。

公式サイト : https://www.gemmyo.com/ja/

🎧 YouTubeItinéraires Singuliers「ポリーヌ・レニョー氏の軌跡」全編をご覧ください。

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このポッドキャストは Anna とのコラボレーションで実現

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