セクター&市場

ESCPビジネススクール視察研修旅行:日本のビジネス・トランスフォーメーションを学ぶ

在日フランス商工会議所は、世界最古のビジネススクールであるESCP校のエグゼクティブMBAプログラムの学生を対象に視察研修旅行を実施。参加者は、日本の企業におけるビジネス・トランスフォーメーションについて理解を深める機会を得た。

在日フランス商工会議所は、ESCP校のエグゼクティブMBA プログラム(プロジェクト・マネジメント&トランスフォーメーション)の学生を対象に、実践的な研修プログラムを企画した。本プログラム最終課程として実施された本研修旅行では、参加者は日本を代表する企業や機関、イノベーターとの交流を通じて、日本の企業や組織がどのように連携して価値を生み出しているかを学ぶ貴重な機会を得た。

本研修旅行は、1週間にわたる集中的な構成で、関係者との交流、現地訪問、ならびにハイレベルなディスカッションを組み合わせることで、日本が多様な分野において、イノベーションやデジタルトランスフォーメーションをいかに効果的に融合させているかを紹介した。

1日目経済動向、企業文化、トランスフォーメーション
プログラム初日は、日本のビジネス環境に関する基礎理解を深めるイントロダクション・セミナーを実施。

  • Arthur Sogno-Pèes氏(在日フランス大使館 経済部):日本経済の全体像について包括的な概観を提示。
  • Emilie Teruel-Esclattier氏(在日フランス商工会議所 事業開発部 マネージング・ディレクター):異文化コミュニケーションの実践的側面を解説。
  • Axel Loiseau氏(Capgemini APAC 地域チーフ・リソース・オフィサー):日本におけるデジタルトランスフォーメーションの事例を紹介。

午後は、フランス発の物流ロボティクス企業Exotecを訪問。同社は、ユニクロとのパートナーシップを通じて日本市場で急速に事業を拡大している。参加者は、日本担当副社長Pierre Perdiguier氏と面会し、高成長を遂げるテクノロジー企業が、日本市場において求められる高い品質・信頼性・性能基準にどのように応えながら、事業進出および拡大を実現しているかについて理解を深めた。

その後、日本を代表する総合商社のひとつである丸紅株式会社を訪問。同社デジタル・イノベーション部部長 大倉 耕之介氏より、データ分析や生成AIを活用した社内トランスフォーメーションの取り組みをはじめ、各事業部門でのイノベーションの促進、ならびに組織内のデジタル人材の育成に関する事例を紹介いただいた。

2日目イノベーション政策とスタートアップエコシステム
午前は、東京都が設立した日本のスタートアップ拠点である「Tokyo Innovation Base(TiB)」を訪問。そこで、フランスの公的機関(Expertise France)および日本の経済産業省と連携して活動するPierre Bugel氏より、日本のスタートアップ環境や日仏間のイノベーション政策協力についての説明を受けた。セッション後はTiBの施設見学が行われ、日本のスタートアップの成長を支えるインフラと支援体制の理解を深めた。

午後は、合同会社DMM.comを訪問。地域活性化や公共サービスにおけるデジタルトランスフォーメーションの事例を学んだ。地方創生事業部 事業部長 片山 尊 氏との意見交換を通じて、自治体と連携した行政手続きのデジタル化や、市民サービス向上に向けた取り組みについて理解を深めた。

3日目セクター横断型の企業変革
日産自動車株式会社の筆頭独立社外取締役Bernard Delmas氏より、同社の再建計画「Re:Nissan」について話を伺った。電動化、組織変革、サステナビリティといった主要な優先課題に触れつつ、コスト削減と戦略的パートナーシップの再定義を目指す長期戦略について学んだ。

続いて、エムシードゥコー株式会社(MCDecaux Japan)を訪問。CEOのMalik Roumane氏およびデジタルトランスフォーメーションマネージャーのMarco Martinez del Pino氏より、日本の都市における「ストリートファニチャー」、IoTセンサー、AI活用型デジタルOOH広告の展開事例を紹介いただいた。

その後、Milleporte / 松屋銀座を訪問。CEOのArmel Cahierre氏より、ECプラットフォームの再設計を通じた百貨店のトランスフォーメーション事例について説明していただいた。本事例では、歴史あるブランドが、オムニチャネル戦略をどのように適応させ、デジタルツールを活用し、顧客体験の向上を実現しているかが示された。

これらのセッションを通じて、日本における企業変革は、漸進的かつ実践的で、データに基づいて進められることが多い点を学んだ。また、顧客体験、オペレーショナル・エクセレンス、長期的なビジョンを重視しながら変革が推進されていることへの理解を深めた。

4日目スマートシティ、BeautyTech、デジタルヘルスケア
午前は、森ビル株式会社の旗艦プロジェクト「麻布台ヒルズ」の施設見学から始まった。参加者は、スマート技術やデータプラットフォームが、大規模都市開発プロジェクトにどのように統合されているかを学んだ。意見交換では、都市計画、持続可能性、住民中心の統合型都市の創出におけるデジタルトランスフォーメーションの役割について議論が行われた。

午後は横浜へ移動し、資生堂グローバルイノベーションセンターを訪問。デジタル/テクノロジー担当SVP Omer Iqbal氏との意見交換を通じて、デジタルによる顧客パーソナライズや美容業界におけるテクノロジーの影響力の高まりについて理解を深めた。本視察では、AI・データ、ビューティーテックの技術が、テクノロジーと人の専門性のバランスを保ちながら、顧客との関わり方や体験を新たな形で創出している事例を学ぶことができた。

5日目ヘルスケアとBeautyTech
午前は、高齢者施設の開発・運営を手掛ける株式会社アズパートナーズを訪問。IoT、AI、統合デジタルソリューションが、高齢者ケア環境の改善、業務効率化、さらにはケアの質の向上にどのように活用されているかを学んだ。

午後は日本ロレアル株式会社を訪問。代表取締役社長のJean-Pierre Charriton氏より同社のBeautyTech戦略やデジタルトランスフォーメーションの取り組みについて紹介いただいた。グローバル企業がデジタル戦略をローカル市場に適応させながら、ブランドの強みと長期的ビジョンをいかに維持・発展させているかについて理解を深めた。

 

本研修旅行を通じて、参加者は、日本におけるビジネス・トランスフォーメーションへのアプローチや、独自の経営手法について深い理解を得ることができた。在日フランス商工会議所は、フランスと日本を結ぶ架け橋として、エグゼクティブ教育プログラムと革新的な企業、ならびにビジネスリーダーをつなぐ機会の提供を実現した。

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